青空が違う
欅坂46「青空が違う」。「世界には愛しかない」のカップリングで、乃木坂46のメインコンポーザーと言っていいだろう杉山勝彦の初の欅坂46での作曲である。
杉山勝彦の作曲ということで曲調的にはかなり乃木坂のものに近い。
パフォーマンスをしているメンバーは志田愛佳、菅井友香、守屋茜、渡辺梨加、渡邉理佐の5人。
歌詞は都会で暮らす遠距離恋愛の彼氏を訪ねた女の子の話で、地方出身者の多い欅坂らしい内容。太田裕美の「木綿のハンカチーフ」のその後といった感じだろうか。
「青空が違う」は秋元康の秀逸な比喩表現が炸裂している事でも素晴らしい曲で、冒頭の
「初めて来た都会は人と人を
洗濯機のようにかき混ぜている
テレビで観てたあの華やかさは
秩序のないエゴに見える」
という歌詞などが素晴らしい。
最近の秋元康は"リプライ"と"LINE"とかのSNSやネットに纏わる単語を意識的に歌詞に盛り込んでいるのが透けて見えて、そういう所は少し不自然に聴こえてしまっていて、なんだかなあと思っていたのだけど、この「青空が違う」で出てくる"Siri"という単語にはそんなに違和感を感じないのは何故だろう。
歌詞を追っていると、タイトルの「青空が違う」が告げているように、この恋人同士の関係はやがて破綻してしまうのであろう事が感じられてくる。
田舎から訪ねてきた彼女に対する、彼氏の
「来るとわかってたら いつだって
君を迎えに行ったよ」
「風邪が伝染るからと キスしない」
こういった反応には、都会で何かあるんだろうなあ…という勘繰りをさせられてしまう。
しかし、そんな彼氏に対して
「本当は一緒に帰って欲しいけど
夢を絶対叶えてほしい」
という彼女がとても健気で切ない。
「散らかった部屋のあちこちに
あなたの努力と 闘いの日々がある」
とあるが、散らかった部屋が必ずしも努力の跡なのだろうか。都会での彼氏の荒んだ生活も垣間見える気がする。
遠距離恋愛の彼氏に対する彼女のこちらの心が痛くなる程の好意的解釈、悲しいくらい一途な想いがこの曲のキモだ。
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