navylight’s blog

当世のアイドルと前世のニューウェーブ

風に吹かれても-曖昧なままでSo cool!

風に吹かれても (Type-A)(DVD付)

不協和音でサイレントマジョリティー路線の決定打を出した欅坂。新曲はそういった形で出来上がったパブリックイメージの逆を行く狙った様な明るい曲調の「風に吹かれても」。

どうしても比較したくなるのはAKBが2011年に出した「風は吹いている」だ。

 

あれだけ膨大な数の曲を書いていれば、同じようなタイトルの曲が出てきても仕方ないとは思う。
にしても、「風は吹いている」は「風に吹かれても」とは違い、硬い緊張感のある曲だった。なんだったら「風は吹いている」の方が欅坂っぽいかもしれない。
「風は吹いている」と言えば、その当時まだまだ生々しかった震災を意識した、ある種の復興ソングだった訳だが、AKBの曲としては正直印象も薄く、翳りの兆候が見え始めた曲だったと思う。


では、今回の欅の「風に吹かれても」はどうなのだろうか。AKBの時、"希望"として大きく描かれていた"風"は、欅坂では"たわいないもの"として描かれている。
この曲における"風"というのは今世間で起こっているちょっとした欅坂ブームの事なのではないだろうか。全盛期を終えたAKBは張子の虎だ、これは社会現象として扱われてブームに翻弄されてしまった結果だと思う。秋元康の、欅坂のブームは終わるだろうけど、そんときはそん時で…というような意思表示がこの曲なんじゃないだろうか。


つまり、AKBの時は風が吹き止む事すら予見しない攻めの姿勢だった秋元康が、欅坂では一転してケセラセラな態度を取っているのである。
正直な話、これまでの曲に比べるとインパクトには欠ける曲だと思う。が、インパクトが無くて当たり前、敢えてそこで戦う事を辞めた曲。YESとかNOとか結論を出さない事もある種の答えなのではないだろうか。