navylight’s blog

当世のアイドルと前世のニューウェーブ

AKB若手曲推進「君を君を君を…」

フレッシュヤンヤン 2016 SPRING AKB48次世代エースTOP3登場:小嶋真子・岡田奈々・向井地美音 (アニカンRシリーズ)


これから最近のAKBの若手曲について何曲か書いていきたい。

若手曲というのはいわゆる最近のAKBシングルのリードトラックとは全く質感が異なり、歌唱するメンバーも大幅に違う。
本来はこちらのような曲をリードトラックにして新しいAKBを見せるのが良いのだろうけど、市場の原理がそれを阻んでいるのだと思う。
ということで最近のAKBのテレビでのパフォーマンスなどを見て、なにか違うと思われている方向けにここ1年に出たシングルのカップリングやアルバムの曲から、これぞという若手曲を集め、幾つか紹介させて頂きたい。

今回ご紹介するのは「唇にBE MY BABY」のカップリング曲の

AKB次世代選抜「君を君を君を」だ。

この曲はとにかくPVが圧倒的に良い。


若手AKBショーケースといったような面持ちでコマ撮りが続く映像はまさにピンナップである。
最近のAKBにしては割と珍しいが、他のアイドルでは上等手段とも言える打ち込みを多用した曲である。リードシンセが派手に鳴った派手な作りは、懐かしさすら感じられる。
作曲は井上ヨシマサで、もはや手癖でこれくらいの曲はできてしまうのであろう。
作詞も正直大して面白いものではない。ここ数年秋元康はAKBの若手の歌詞に相当難儀していると思えるのだが、この曲もそんな秋元康が苦肉の策で書いた感じを受ける、誰が歌ってもいいような大して意味の無い歌詞である。
そんなわけでよくよく考えると、一昔前のAKBのような曲をいつもの作家陣が手癖で作っているだけなのだが、若手メンバーが歌っているととても新鮮に聴こえるから不思議だ。


前田敦子の声も高橋みなみの声も、小嶋陽菜の声も大島優子の声も全くしないというだけで、曲の作りに何一つ新しい所が無くても新鮮に聴こえてしまう。さらに、何回か聴いていると、若手の中にも黄金期のメンバーのようにイロを持った声質がいる事に気づいてもらえると思う。

ある意味この曲は4、5年前のAKBの曲のフォーマットが現在でもなお通用する事を証明している。それもそのはずで、未だに巷のアイドルの中にはこのフォーマットの再利用で新曲を出しているグループがいくつもある。
そして、この曲の存在によって、今でも秋元康はこういう曲を作ろうと思えば作れるのに、普段のシングルでは敢えて挑戦しているのだという事がよくわかる。その挑戦が上手く行っているのかどうかは別として。

元々のAKBだって最初はこういったベタなアイドル曲を経てきたからこそ、365日の紙飛行機だとか、フォーチュンクッキーに到達したわけで、いきなり若いメンバーをそういう曲に組み込んでもハマらないのだ。

若いメンバーが本領を発揮するのはやはりこういうアイドルらしい曲である。

井上ヨシマサのこういったベタな進行の曲というのはやはり一定の水準を保っている、いわゆる「高速戦隊ターボレンジャー」の主題歌と全く同じタッチの路線。
難を言えばやはり歌詞だろうか、物語の結末が「一緒に帰ろう」というのは少しばかりバカにし過ぎではないだろうか。
折角若手メンバーが集まって歌うのだから、普段のシングルのような堅苦しい意味も無くて正解なのかもしれないが。

しかし、そんな文句も霞むくらいこの曲は良い。それは若手メンバーのポテンシャルの現れと言ってもよいだろう。

君を君を君を・・・

君を君を君を・・・



君を君を君を…

君を君を君を…