navylight’s blog

当世のアイドルと前世のニューウェーブ

ウイングマン〜異次元ストーリー

ウイングマン 13 (ジャンプコミックスDIGITAL)

桂正和の処女作。
仲の良い鳥山明は相当に桂正和の影響を受けていると感じた。サイバイマンの元ネタはこの漫画に出てくるシードマンだったし、グレートサイヤマン編はモロにウイングマンという感じ。
光の鳥山明、影の桂正和という感じで二人の作家は表裏一体と言って良いと思う。
文庫版で読んだのだが、一巻の解説を書いている作家は鳥山明だった。
ウイングマンの素晴らしいのは、作家の処女作だけあって、前半から後半にかけて作家の成長がありありと読み取れるところ。前半のガチなSFっぽい設定もゾクゾクして面白いのだけど、後半のあおいと美紅のどちらを選べば良いのか思い悩む健太の姿は、桂正和の後の作品の萌芽という感じである。
今の時代なら、前半のミステリアスな雰囲気のがウケると思うが、時代がラブコメを要請したのだろう。桂正和に恋愛モノの才能があり過ぎたのかもしれないが。異次元人のあおいが瀕死の状態で真の姿を暴かれてしまった時、ウイングマンが必死に目を逸らしながら戦うシーンはグッときた。
ストーリーもさることながら、桂正和メカニックデザインが素晴らしく格好良い。ウイングマンのスーツ、ウイナア・ウイナルドの洗練されたデザイン。発表が1983年なのだけど、東映ヒーローの後のメカやスーツのデザインに絶対影響を与えていると思う。ウイングマン自体が東映ヒーローを元ネタにしているのに、逆に本家に影響を与えているカタチだ。
作中のキャラクター的なとこでいくと、主役の広野健太を取り巻く周りの女の子達はとにかく報われない。最も側にいたあおいさんさえ最後は哀しいクライマックスである。
作品通して「夢」というのがキーワードになっているが、夢を必死で叶えようとしてる人の周りってのは得てして報われないもんなのかもしれない。