夢の名残
NMB48の最新シングル「僕はいない」。
渡辺美優紀の卒業シングルである本作の劇場盤CDには表題曲である「僕はいない」、そして山本彩の作曲による「今ならば」、最後に渡辺美優紀のラストソロ曲となる「夢の名残」が収録されている。
その中でも特に「夢の名残」という曲について紹介したい。
渡辺美優紀のソロというと、これまで「わるきー」や「やさしくするよりキスをして」のような、ブリブリのアイドル曲だった。
しかしこの「夢の名残」は、そんなアイドルソングの喧騒から解き放たれたような、とても落ち着いた詩的な楽曲である。
自身のアイドルらしいキャラクターというのを確固としていた渡辺美優紀が見せる素の表情。
「夢の名残
ひとみ閉じれば
過ぎた日々が浮かんでくる
眩しいくらい輝いていた
記憶のすべても月のかたち」
夢の行き先を、
三日月から段々と満月へと変わっていく月になぞらえた歌詞。
とても情緒的である。
しかし、この歌詞を聴いて思うにこの「夢の名残」というのは、渡辺美優紀自身の夢というよりは、どちらかといえば彼女を見ていたファンや秋元康の心情なのではないだろうか。
最後の一節
「待っててほしいよ夢の続き」
という歌詞は秋元康なりの渡辺美優紀へのメッセージという気もする。
本来のところ渡辺美優紀が今後どういった未来を歩んでいくつもりなのか、とかそういった事は全く分からないのだけれど、
「夢の名残」の抽象的な詞を歌うその声こそが、何よりも本人の心情をハッキリと表現している。