navylight’s blog

当世のアイドルと前世のニューウェーブ

フォークソングを聴こう〜秋元康周辺の巻

「ザ・プレミアムベスト」青春のフォークソングス名曲集

欅坂46の「渋谷川」「ボブディランは返さない」、AKB48の「翼はいらない」もそうだが、とにかく今年の秋元康関連はフォークソングが多い。
というわけで今回はそんな秋元康にまつわったりまつわらなかったりするフォークソングを紹介しよう。

 

まずは旅情フォークの定番、山本コータローとウィークエンドの「岬めぐり」である。

https://itunes.apple.com/jp/album/jiameguri/id1115046832?i=1115046962&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

秋元康はおそらくこの曲からは多大な影響を受けている。秋元康がプロデュースしたとんねるずの曲に「心めぐり」というこの曲のもろパロディな曲があって、パロディのクセにやたら感動する曲で、秋元康がおふざけからマジになる、ちょうど過渡期の作品かと思う。

 

 

市川と宮嶋

市川と宮嶋

 

 
同じアルバムに入っている「律子に乾杯」というのもフォーク時代の長渕のパロディで、なかなか良い曲だ。

 

GOOD-BYE青春

GOOD-BYE青春

  • 長渕 剛
  • J-Pop
  • ¥255

で、長渕剛である。彼は元々フォークシンガーであり、秋元康は長渕のオールナイトニッポン放送作家をやっていた。さらに長渕が初めて外部の作家にシングルの作詞をさせたのも秋元康だ。「情けねえ」という長渕のパロディで大ヒットを放った秋元康は実は「Good-Bye青春」などで本物の長渕の詩を書いたことのあるバリバリのインサイダーだったのである。

 

https://itunes.apple.com/jp/album/baii-seha-lian-renno-se/id76058616?i=76058624&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

そしてもう一つ欠かせないのはベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」である。
ベッツィ&クリスは加藤和彦プロデュースによる外国人の少女二人組のフォークデュオだ。
欅坂46の「渋谷川」などを唄うゆいちゃんずのイメージの原型はこの辺であると見ている。
秋元康きたやまおさむへの尊敬などを語っていたこともあり、フォークル直系のこのユニットの曲から受けた影響も大きいだろう。

少し前にフレンチ・キスというAKBの派生ユニットが出した「思い出せない花」などはこの曲そのまんま過ぎて、訴えられたりしないのかと少しビクついたものである。凄い良い曲なのだが。

 

 

今回は特に直で秋元康に関係のあるフォークソングを紹介したが、確かに日本のフォークソングというのは40年前の一時のブームで終わらせるには惜しいほど、音楽のフォーマットとして普遍的な魅力を放っているし、秋元康しつこくフォークソングを意識した曲を書いて、フォークを復興させたいというような気持ちもとてもよく理解できる。

ゆいちゃんずの曲や「翼はいらない」でフォークソングがなんとなく気になった人は色々昔のフォークソングを聴いてみるのも面白いかもしれない。

あ、アングラフォークとかもあるので、とりあえず最初からそういうのを聴いちゃわないように気をつけてください。
逆にいいのかもしれないけど…。

 

フォーク・ベスト ?あの素晴らしい愛をもう一度

フォーク・ベスト ?あの素晴らしい愛をもう一度

 

 

 

渋谷からPARCOが消えた日

 f:id:navylight:20160812180330p:image

平手友梨奈って中森明菜なんじゃないだろうか。ツイッターってラジオだ!以来のコロンブスのタマゴ的な感想を抱いてしまうほど、新曲「渋谷からPARCOが消えた日」の平手友梨奈中森明菜している。

曲調、編曲、どれをとっても中森明菜
特にサビの「パルコパルコパルコパルコパルコ…パルコパルコオンリーッ!」の所は完全に「DESIRE」の「ゲラッゲラッゲラッゲラッバーニングハーッ!」である。

で、タイトル通り2016年8月7日にPARCOは渋谷から消えたのである。
あの日、あなたは何をしていただろうか。
僕はお笑いライブを見に行ってゲラゲラ笑っていた。


前作「サイレントマジョリティー」の"渋谷"というコンセプトを唯一セカンドシングルで引き受けているのがこの曲かと思うが、
この「渋谷からPARCOが消えた日」という曲をもってあのコンセプトは一旦終わってしまうのだろうか。
「今の東京を歌う」という、よく考えると最近では珍しい大好きなコンセプトだったので、サード以降も続けてほしいものだ。

 

「2019その頃私は大人」

 

という歌詞があるように、PARCOがまた渋谷に復活するのは2019年の予定だ。
歌っている平手友梨奈はちょうど18歳になる。

その頃自分はどうなっているのだろうか、渋谷の街はどうなっているだろうか…考えさせる歌だ。

ちなみに歌詞を書いている秋元康にもPARCOは想い出深い場所だったろうと思う。
古くはPARCOは秋元康がプロデュースしていたとんねるずがプロへの決心を固めた場所であり、最近だと乃木坂46の「16人のプリンシパル」が初めて行われたのもPARCO劇場でのことであった。


PARCOはかつては若者向けサブカルチャー雑誌「ビックリハウス」などの発行も行っており、単なるファッションビルでなく、文化の発信地的な意味も持つ大きな場所だった。

f:id:navylight:20160812180623j:image
ついこの間までスペイン坂スタジオで毎日のようにアイドルやバンドのミーハーなファンがごった返していたあの場所も、閉店からたった数日で当然のように閑散としてしまっていた。

 

しかし欅坂46のおかげで、見過ごしてしまいそうな街の風景がこんなにも詩的に思えてしまうのは、本当に凄い事だと思う。

終わりは始まりとはよくいうが、この曲にはそんな感覚も覚える。


単なる中森明菜のオマージュと思いきや、滅茶苦茶意味のある曲だ。
欅坂46、単なるアイドルグループにしては背負ってるものは大きい。

渋谷からPARCOが消えた日

渋谷からPARCOが消えた日

 

 

 

ポッドキャストの現在〜ニッポン放送VSTBSラジオ

ポッドキャストのすべて~情報発信はブログからポッドキャストへ (TJムック)

日本のポッドキャスト配信最大手と言ってもよかったTBSラジオポッドキャストの配信を停止し、TBSラジオクラウドへ移行したことにより、状況は一変した。

これまでポッドキャストのランキング上位を占めていたTBSラジオの番組がごっそり無くなるのだから、利用していた人間にとっては結構な打撃である。
他のサービスで今でも聴けはするものの、iPhone備え付けであるポッドキャストから聴けないというのはひどく不便である。
Appleの完成されたUIの元で聴けるという、気軽に目に入った時だけ聴けるという手軽さをTBSラジオポッドキャストは失った。

で、自分が代わりになにを聴くようになったかというと、TBSラジオのライバル、ニッポン放送ポッドキャストである。
特に「高田文夫ラジオビバリー昼ズ」や「三四郎オールナイトニッポンZERO」、他にも宮崎哲弥などがコメンテーターを務める夕方のニュースの配信などを聴いている。

TBSラジオポッドキャストのような音楽を扱う番組でも音楽を丁寧に取り除いて配信したり、予告を入れたりといった細かい配慮には欠けていて、半ば取って出し感も強いが、配信のスピード感と、本放送の雰囲気を味わえるという点でコレもなかなか良いものだ。

というか後期のTBSラジオポッドキャストは毎回執拗に入る番宣が少々鬱陶しくもあった。
最近はオールナイトニッポンの2部のLINE LIVEでの二元放送や、youtubeでチャンネルを立ち上げてのオールナイトニッポンwなど、ニッポン放送のほうがネット配信には積極的で、新しい人材もどんどん発掘しているようなので、十年以上続いたTBSラジオのひとり勝ち時代も、そう長くはないのではと思ってしまう。

昔はニッポン放送にTBSが立ち向かっていくのが面白かったのだが、十年経ってすっかり立場も逆になった。
あの頃のTBSの大きな武器のひとつがポッドキャストだったと思うのだけれど…。

まあでも、TBSラジオのやる事って、コサキンの終了とかは今考えると英断だったのかなとかも思えるので、TBSラジオクラウドも安易に否定できないのは事実ではある。

ひらがなけやき

MARQUEE 116

欅坂46「世界には愛しかない」の劇場盤のカップリング曲、「ひらがなけやき」。
この曲はただ一人遅れて加入した一期生長濱ねる、さらに追加オーディションで選ばれた11名による欅坂46の妹分グループ"けやき坂46(通称:ひらがなけやき)"のデビュー曲だ。
少し分かりにくいかもしれないが、漢字表記の欅坂46に付随するユニットが、ひらがな表記のけやき坂46ということになる。

デビューしてたった四ヶ月でこれだけの人数の妹分グループ、というかそういうものができてしまうのは、ちょっと異例なことだろう。

しかしこの初めてのオリジナル曲「ひらがなけやき」がとても素晴らしい。
旧来的王道アイドルソングな曲もさることながら、その歌詞である。

秋口に転校してきた生徒が新しい環境への想いをつらねた、


「一本の欅から色づいていくように

この街に少しずつ馴染んでいけたらいい」


というような歌詞はまさにデビューしたばかりの"けやき坂46"のメンバーの心情を現していると言えるだろう。
ファーストシングルにはただ一人遅れて加入した長濱ねるが自身について歌った「乗り遅れたバス」が収録されていたが、今回はあの続きと言った感じだろうか。

 

この曲が画期的と言えるところは、やはり"他の人達とはズレて「新しい環境」へ入っていく人間の心情"を歌っているところだろう。
"転校していく人"の歌というのはわりかしよくあるものだけれど、"転校してきた人"のポジティブな気持ちを歌った曲というのは意外なことにこれまであまり無かったと思う。
何故なら"転校してきた"という事はまだ何も起こっていない状況なので、歌詞を紡ぐことが困難だからだろう。
しかしそんな、まっさらだけどまっさらではない、期待と不安が入り混じっている心情を、様々な表現を用いることによって一曲分の歌詞をしたためてしまう秋元康っていうのは、本当に凄いと改めて感心してしまう。

 

「これからよろしく
ひらがなのように
素直な自分で
ありのまま…」

 

誰もが同じようにステップを踏んで進学だったり就職をしていた時代から、それぞれ少し違った道順で人生を進んでいく人も増えた現代に、必要とされていた歌詞だと思う。

 

楽曲のメロディーラインとかそういうのは前述した通り昔のおニャン子クラブの「真っ赤な自転車」とか「じゃあね」なんてものも想起される感じなので、少し昔っぽさも感じてしまうかもしれないが、実は歌詞の内容はとても新しいというギャップも面白い。

これからも秋元康そして"けやき坂46"には、これまでJ-POPがとりこぼして来た、めだたないけれど実は沢山いる人々(サイレントマジョリティー)の歌を、どんどん作っていってほしいと思う。

https://itunes.apple.com/jp/album/hiraganakeyaki/id1138610617?i=1138611039&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

 

世界には愛しかない(通常盤)

世界には愛しかない(通常盤)

 

 

 

 

ボブディランは返さない

https://itunes.apple.com/jp/album/bobudiranha-fansanai/id1138610617?i=1138611038&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

欅坂46のデビューシングルで「渋谷川」という曲を歌っていた"ゆいちゃんず"の新曲「ボブディランは返さない」。
ゆいちゃんずは典型的なフォークデュオで、前作「渋谷川」はベッツィ&クリスのようなフォークど真ん中な雰囲気があったのだけれど、今回は打って変わって、あみんの「待つわ」のような雰囲気である。

https://itunes.apple.com/jp/album/daitsuwa/id260608918?i=260608922&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

以前リード曲の「世界には愛しかない」がボブディランから影響を受けているのではないかという記事を書いたが、この「ボブディランは返さない」におけるボブディランは別にボブディランである必然性はないかと思う。
懐かしさのアイコンがたまたま「ボブディランのレコード」という話ではないだろうか。

そもそもこの曲のイメージの根源は間違いなくガロの「学生街の喫茶店」だ。

https://itunes.apple.com/jp/album/xue-sheng-jieno-chi-cha-dian/id639537373?i=639537612&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
「学生街の喫茶店」の歌詞に「片隅で聴いていたボブディラン」というのがある。
この曲のタイトルはあの歌詞からのかなり直接的な引用だと思う。
「ボブディランは返さない」には「学生街のこの店に二人でよく来たけれど」という歌詞もある。

あとは歌詞に紅茶が頻出する。
これは柏原芳恵の「ハローグッバイ」だろう。

https://itunes.apple.com/jp/album/haro-gubbai/id365022900?i=365022936&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
「ハローグッバイ」は元々アグネスチャンの曲らしいが、柏原芳恵中島みゆきの曲を多数歌っていることから、フォークとさほど縁遠い人物でもない。

つまり、この「ボブディランは返さない」を因数分解すると…

学生街の喫茶店×ハローグッバイ×待つわ

となる。

ほっておくとただのパロディソングになってしまうのだが、マジで聴ける歌に仕上げてしまうところが秋元康の凄いところだと思う。

 

 

GARO 2

GARO 2

 

 

 

 

 

 

 

ついにリリース!世界には愛しかない!

  世界には愛しかない(TYPE-A)(DVD付)

待ちに待った欅坂46のセカンドシングル「世界には愛しかない」がリリースされた。
我が家にも昨日CDが届き、聴きまくっている。

リリース前から聴いていたからこそ味わえる、このCDの高音質で曲を味わえることへの喜び。

CDの音源で聴くと、サビの高揚感もより一層際立っていて、世の中に対する圧倒的肯定感がたまらない。

とりあえず劇場盤しか手元にはまだないのだが、カップリングの「ボブディランは返さない」も良い、そして特に「ひらがなけやき」が
素晴らしい!

夏が終わってしまう前にこの曲を聴いていただく事をお勧めする!
発売前にこの曲については色々書いてきたので、まとめておきます。

 

と、色々書いてきましたが、もう出てしまったのでとにかく聴いてください!

https://itunes.apple.com/jp/album/shi-jieniha-aishikanai/id1138610617?i=1138611027&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

 

「欅って書けない」で平手友梨奈も言っていましたが「LOVE=♡=愛」!世界には愛しかないんだ!

 

世界には愛しかない(TYPE-A)(DVD付)

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世界には愛しかない(TYPE-B)(DVD付)

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世界には愛しかない(TYPE-C)(DVD付)

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世界には愛しかない(通常盤)

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シンゴジラ、石原さとみ。

シン・ゴジラ音楽集

これでもかってくらい話題のシンゴジラですが、とても素晴らしい映画でした。
数年前の海外版とかなんだったのか、百点満点です!
石原さとみさんの演技以外は…。
今回は石原さとみの演技にのみ絞って考えたい。

まだ見てない人に簡単に説明しておくと、
シンゴジラの中で石原さとみは海外帰りのエリート役をやっているのだけれど、
海外帰りということで随所に
「ガズィーラ」だとか、
あの、坂本龍一ツイッターを「トゥイッター」というのでお馴染みな感じの、
和田アキ子がカメラを「キャメラ」というのでお馴染みな感じの、
外来語を本国のイントネーションで発音する。

という面白いヤツをやっている。

(和田アキ子は海外帰りではなかった)

これがまあ、「発音がなっていない!」だとか「いや、あれは面白くするためにワザとやっているんだ」とかチョコチョコとネット上でも言われている。

さて、本題に入りたいが、僕が言いたいのはそういう事ではない。

 

果たしてコレ、面白いんでしょうか。

 

"スベリ芸"みたいなものなのだろうが、スベリ芸というのは愛されるキャラクターだとか、"間"のようなその人の力量だとか、様々な事が要求される高度なテクニックだと思う。

 

これは決して石原さとみに限ったことではないが。
自分はそういった意味で役者の人が作品の中でやっているスベリ前提の敢えてやってます的な笑いは、あまり面白いと思えないのだ。

面白い事があったとしても、それは堤幸彦だとか福田雄一とか、そういう作品を面白く仕上げることの得意な演出家が、上手く仕上げたときだけであって、そういう演出家でも失敗例はいくらでもある。

 

で、さらにこの石原さとみの敢えてイタイ役みたいなのはシンゴジラで始まったワケでもなく、
今回のシンゴジラも手がけた樋口監督の「実写版 進撃の巨人」のハンジ役でも同じような敢えてイタイ役をやっていた。

あれを受けての今回のシンゴジラでの起用なのかもしれないが、そもそも進撃の巨人でも自分はあの石原さとみのハンジが寒くてしょうがなかった。
まあコレは価値観の問題なのかもしれませんが。

他にも面白いポイントはいくつもあるシンゴジラなのに、何故にこんな"笑いの保険"みたいな役を作る必要があったのだろうかと、あまりの名作が故にひっかかってしまう。


…という感じで保険をかけて終わる。