わが青春のVジャンプ〜えのきどいちろう編

コロコロなんて子どもっぽい、かといってボンボンでもない。ファミ通はまだ敷居が高い。
そんな小学生の需要を満たしてくれたのがVジャンプであった。
Vジャンプが教えてくれたものの中で特筆すべきは、"コラム"というものの面白さだ。
小学生の手の届く範囲に初めて現れた大人のコラム。それがVジャンプの魅力のひとつだった。

コミックエッセイの形式をとった「犬マユゲでいこう」を筆頭に、Vジャンプは小学生の大好きないわゆるホビーやゲームが、テレビのバラエティだとか普段の生活と地続きに存在しているという感覚を読者に与えてくれた。

犬マユゲでいこう (Vジャンプコミックス)

犬マユゲでいこう (Vジャンプコミックス)



そして創刊当時から続いていたというえのきどいちろうのコラム、「我輩はゲームである」。
我輩はゲームである。〈其ノ1〉 (Vジャンプブックス)

毎回一点の挿し絵以外は文字のみで構成された1ページ、遊戯王デジモン目当てで誌面に目を通した小学生にはとても異質な存在感であった。今思うとあの挿し絵を描いていたのはしりあがり寿だったのだけれど。子どもだけの遊び場に落ち着いたオジさんが紛れ込んでいるといった感じで、このページの言ってしまえば少し冷めたその語り口に、自分は大人の雑誌を読んでいるという錯覚を覚えていた。

この、えのきどいちろうのコラムを読みなれていたからこそ、後々テキスト主体のブログやエッセイ本、テレビブロスなどの雑誌のコラムの世界にすんなり入っていけた。
えのきど氏のコラムはなかなかまとまった形のものが少ないのだけど、文庫になっている「妙な塩梅」などはオススメである。

妙な塩梅 (中公文庫)

妙な塩梅 (中公文庫)


そんなわけで遊戯王ドラクエの陰で、えのきどいちろうのコラムやシュール系テレビ番組「よいこっち」のコーナーを連載していたVジャンプには、"若年層向けとんがった総合誌"としての可能性があったと思い返す今日この頃である。