navylight’s blog

当世のアイドルと前世のニューウェーブ

ひらがなけやき

MARQUEE 116

欅坂46「世界には愛しかない」の劇場盤のカップリング曲、「ひらがなけやき」。
この曲はただ一人遅れて加入した一期生長濱ねる、さらに追加オーディションで選ばれた11名による欅坂46の妹分グループ"けやき坂46(通称:ひらがなけやき)"のデビュー曲だ。
少し分かりにくいかもしれないが、漢字表記の欅坂46に付随するユニットが、ひらがな表記のけやき坂46ということになる。

デビューしてたった四ヶ月でこれだけの人数の妹分グループ、というかそういうものができてしまうのは、ちょっと異例なことだろう。

しかしこの初めてのオリジナル曲「ひらがなけやき」がとても素晴らしい。
旧来的王道アイドルソングな曲もさることながら、その歌詞である。

秋口に転校してきた生徒が新しい環境への想いをつらねた、


「一本の欅から色づいていくように

この街に少しずつ馴染んでいけたらいい」


というような歌詞はまさにデビューしたばかりの"けやき坂46"のメンバーの心情を現していると言えるだろう。
ファーストシングルにはただ一人遅れて加入した長濱ねるが自身について歌った「乗り遅れたバス」が収録されていたが、今回はあの続きと言った感じだろうか。

 

この曲が画期的と言えるところは、やはり"他の人達とはズレて「新しい環境」へ入っていく人間の心情"を歌っているところだろう。
"転校していく人"の歌というのはわりかしよくあるものだけれど、"転校してきた人"のポジティブな気持ちを歌った曲というのは意外なことにこれまであまり無かったと思う。
何故なら"転校してきた"という事はまだ何も起こっていない状況なので、歌詞を紡ぐことが困難だからだろう。
しかしそんな、まっさらだけどまっさらではない、期待と不安が入り混じっている心情を、様々な表現を用いることによって一曲分の歌詞をしたためてしまう秋元康っていうのは、本当に凄いと改めて感心してしまう。

 

「これからよろしく
ひらがなのように
素直な自分で
ありのまま…」

 

誰もが同じようにステップを踏んで進学だったり就職をしていた時代から、それぞれ少し違った道順で人生を進んでいく人も増えた現代に、必要とされていた歌詞だと思う。

 

楽曲のメロディーラインとかそういうのは前述した通り昔のおニャン子クラブの「真っ赤な自転車」とか「じゃあね」なんてものも想起される感じなので、少し昔っぽさも感じてしまうかもしれないが、実は歌詞の内容はとても新しいというギャップも面白い。

これからも秋元康そして"けやき坂46"には、これまでJ-POPがとりこぼして来た、めだたないけれど実は沢山いる人々(サイレントマジョリティー)の歌を、どんどん作っていってほしいと思う。

ひらがなけやき

ひらがなけやき

 

世界には愛しかない(通常盤)

世界には愛しかない(通常盤)