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新ドラマ「時をかける少女」の初回を見て〜チグハグなイマ

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)


そもそもなんでまたリメイクしようと思ったのだろうか。原田知世の映画版が最も有名な「時をかける少女」の新作ドラマが日本テレビで始まったので見てみた。

これまでに「時かけ」の映像化は、

映画版
1983 原田知世主演
1997 中本奈奈主演
2010 仲里依紗主演

ドラマ版
1972 島田淳子主演
1985 南野陽子主演
1994 内田有紀主演
2002 安倍なつみ主演

アニメ版
2006 仲里依紗主演

という感じで、
最早忠臣蔵の域に達し始めている。
そういったなかで、今回はドラマ版ということでは実に14年ぶりとなる。
しかも主演は黒島結菜だ、「ごめんね青春」で話題を呼んでからここ2年近く地味ながらも着実にキャリアを重ねてきている期待の若手女優。かくゆう自分もこの黒島結菜目当てでこの「時かけ」を見た。

一話を見終えて。

元々がジュヴナイルなので、中高生くらいの視聴者が楽しめるように作られているのだろうが、正直退屈だった。
まず、これみよがしに出てくる最近の若者に寄せているであろうアイコンがことごとくズレているのを感じた。
ネットアイドルだとかその辺りの描写に、古い作品を現代向けにするために無理矢理ブチ込みました感が否めない。冒頭の毛の処理云々といった台詞も、話題性を狙っているのだろうが、正直「そんな台詞を言わせてしまうのか!」というより、あまり面白い台詞でもないので、言わされている黒島結菜が可哀想だと感じた。冒険している台詞だけに。ましてや黒島結菜って一応眉毛がチャームポイントの女優ではあるワケだし。
あの冒頭の台詞もまた、話題作りのために無理矢理入れ込んだように思えた。脚本家は「セーラーゾンビ」なども手掛けられている渡部亮平で、もっと面白い脚本が書ける人だと思うのだが、なんだか28歳の若い脚本家にしてはジジ臭い脚本だった。偉い大人にあーだこーだ言われてがんじがらめになって作った脚本なのかもしれない。
さらに気になったのは、イケパラ的な主人公勢、あんな長身のハンサムな奴に告白されて断る黒島結菜は一体なんなんだろうか。尾美としのり辺りがあの役をやっていた昔の映画版などは何の違和感もなかったのだけれど、今回の相手役の竹内涼真はイケメンとしての性格が強すぎて、幼馴染からの求愛を断る甘酸っぱい情景というよりかは、長身イケメンの告白を余裕で蹴ってハベらす、女王様というようにも見えてしまった。
イケメンを二人も従えている黒島結菜のクラスでの好感度はどうなっているんだ!?

僕はこういう昔の作品を安易に現代風に落とし込もうとするリメイク作品を見るにつけ、だったらその元になる作品のモチーフだけ借用して、あとは自由に好きな事をやった方が絶対にドラマは面白くなると思う。
Amazonで先行配信が始まったばかりの「徳山大五郎を誰が殺したか?」などはヒッチコックの「ハリーの災難」の現代風解釈で、とても素晴らしいのだが、例えばこれを「ハリーの災難」のリメイクとしてやっていたらここまで面白い作品になっただろうか?
もっといえば、2006年のアニメ版「時かけ」の「現代の時かけ」という位置が未だ揺るがされていない今、また改めてリメイクをやるというのは、まだ少し時期尚早だったのではないかと感じる。
だから、今回の時かけに唯一正解があるとすれば、下手に近代に寄せることなく、原作発売当時の60年代後半くらいの世界観を忠実に再現したレトロフューチャーなドラマにするのが正しかったのではないかと思う(ちょうど裏番組ではBSで、ウルトラマン大感謝祭というまさに60年代そのものの番組をやっていた)。

折角黒島結菜が主演を張って、若くて良い脚本家がメインライターを担当しているのなら、「時をかける少女」なんて古典じゃなく、全く新しい作品を見たかったという欲もある。
全五話で終わるらしいが、見続けるかどうか決めあぐねる初回であった。