navylight’s blog

当世のアイドルと前世のニューウェーブ

アイドルがアルバムを出すタイミング

先日、個人的にソロ活動が好きだった前田敦子がようやくソロでアルバムを出した。
実はまだ手に入れないで曲目だけ見てこれを書いている…。
しかしながらこのリリース、遅すぎたと感じる。シングルのリリースが定期的に行われていた2年前くらいにこのアルバムが出ていれば、もう少し話題にもなったのかもしれない。

Selfish<Type-A>

そもそもアイドルのアルバムで成功例といえばももクロの「バトルアンドロマンス」が最たるものなのだが、あれはそれまでのシングルも再録が絶妙にリアレンジされていたし、半分以上新曲が占めており、構成も完璧だった。
アルバムだからこそできる作品という感じがした。

アルバムはとにかく出すタイミングが重要だと思う。シングル以上に時間をパッケージングするということに注意を払った方がよいのだろう。

アルバムを出すまでのスパンが長すぎると入れ込めないといけないシングルの量だとかが増えすぎて、アルバムとしての遊びができなくなるし、曲と曲同士の雰囲気が離れてしまってアルバムとしての統一感もなくなる。

誰でもよいのだけれど、例えばMr.Childrenの何か曲を好きになったとする、それがシーソーゲームだとしよう。普通シーソーゲームが気にいった人は同じような雰囲気のMr.Childrenの曲をさらに求める、シーソーゲームと同時期に作られたMr.Childrenの曲が聴きたくてその曲の入ったアルバムを買う。というのがアルバムを購入する普通の動機だと思う(Mr.Childrenほどのバンドだとベスト盤を買うという選択肢も出てきてしまいますが…)。

一枚のアルバムに収録されるシングルのリリース時期にバラつきが出ると、この"同じ頃の雰囲気の曲が聴ける"という利点がアルバムから無くなってしまう。

で、ベスト盤みたいなアルバムが出てしまう。
そもそもitunesとかで曲単位で購入できる時代に、ベスト盤はさほどの意味を持たない。
ベスト盤というのは"ちょっと聴いてみたいな"という人のものだから、この"ちょっと聴いてみたいな"の人が沢山いるほど、今アイドルの曲を聴く人の裾野は広くないと思う。残念ながら。

だからアルバムを出すなら統一感みたいなものを大切にしてほしい。
今回の前田敦子で言えば一枚目の「Flower」から三枚目の「タイムマシンなんていらない」までには一つの統一性があったから、あの辺りの曲プラスアルファでアルバムをまとめて2年前くらいに出せていれば、ものすごい名盤になっていたのではないだろうか。あの頃ならまだ"アルバム"ってものにもう少し世の中的に意味があったし。この数年で本当にアルバムってものに意味が無くなってしまった。

ですが、僕は前田敦子のソロ活動自体は本当に大好きだ。彼女の声質というのはグループよりもソロ活動で滅茶苦茶活かされていると思う。
前田敦子のソロ活動はもっと音楽方面からの評価が高くていい気がする。

それにしても各タイプそれぞれ異なる新曲が一曲ずつ入っているとかいう、売るための曲構成は、正当な評価からアルバムを遠ざけるだけだから本当に止めた方がいいと思う。