マブーセ博士のプロパガンダ

A Secret Wish-25th Anniversary


サンプラーなどのデジタル楽器の発達によってそれまでと全く違う質感の音楽を作ることが可能になった80年代、それらの新しい音源を巧みに使いこなし数々のヒット曲を生み出したトレヴァー・ホーン。
そんな彼はバグルスの「ラジオスターの悲劇」や、イエスの「ロンリー・ハート」を経て、自身のレーベル"ZTT"を立ち上げた(ZTTという名前はマシンガンを打ち鳴らす擬音から来ている)。

ZTTの音楽はとても革新的だったのだが、その確かなマーケティングによってその評価を高めた。
決して人前に現れない覆面ユニット"アート・オブ・ノイズ"や、ゲイを前面に打ち出した"フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド"などが有名である。

ある種玄人向けといった感じのマニアックな音楽を、外堀から特徴づけて万人に受け入れさせるというZTTの手法は、新しい音楽を紹介するうえで非常に的確だった。

エルヴィス・プレスリーの腰の動きだとか、ビートルズのマッシュルームカットも音楽性とは殆ど関係ないが、多くの人に大きなファーストインプレッションを与えたことだろう。

音楽的に言ってかなりマニア向けだったアート・オブ・ノイズとポップ路線のフランキー、そしてその中間に位置したのが、ドイツ出身のバンド"プロパガンダ"だ。
ドイツのニューウェーブシーンの重要バンド"ディー・クルップス"の元メンバーを含む、男2女2の四人組である。

工業都市ドイツの冷たい空気、そしてデカダンな雰囲気を併せ持つプロパガンダは、当時異彩を放っていたドイツニューウェーブ(ノイエ・ドイチェ・ヴェレ)の空気を、トレヴァー・ホーンのプロデュースによってドイツ本国以外にもしらしめたという点で非常に稀有なバンドだった。

トレヴァー・ホーンの才能というのは、こうしたマニアックなモノを、実験性を失わせずに非常にポップに仕上げるその手腕にあったのだろうと思う。

PROPAGANDA/Dr.Mabuse
http://youtu.be/bHKm4mLTLs8