ホビー系新書の世界
新書というと政治だとか経済だとか堅苦しいものを思い浮かべがちだけれど、
ホビー系というかエンタメ系というかそういった新書もそこそこ出ていたりするものだ。
何冊かそういった新書の中からご紹介したいと思う。
マジックハンドやゲームボーイの開発者として知られる、任天堂的創造力の原点ともいえる横井軍平さんの歩みを辿る。
横井軍平さんは、ワンダースワンのグンペイの名前の由来というとなんとなく馴染みの湧いてくる世代の方もいるのではないか。
同じ著者による横井軍平さんに関する本というのは何冊か出ているのだけれど、こちらは新書サイズでコンパクトにまとめられている上、カラー写真も多く読みやすい。
テレビゲームにとどまらず、色々なアイディア玩具にまつわるエピソードが納められている。
勇者ライディーンから宇宙刑事ギャバン、90年代の戦隊ヒーロー、なんとそれらすべてのデザインを手掛けていたのが、この村上克司というデザイナーだ。
元は工業デザインを志した彼の、玩具としての機能性を優先しながらもシャープで挑戦的なデザインがどのようにして行われていったか、電撃ホビーマガジンでのインタビューをまとめた新書である。
日本国内におけるロボットやヒーローの造形に大きな影響を与えている彼だが、一企業人であるということから番組クレジットに名前を連ねることを頑なに拒み続けてきたという。
そんな彼のデザインワークの全貌を知ることのできる今のところ唯一と言っていい書物なのではないだろうか。
・僕たちのゲーム史(星海社新書)
発行元の星海社新書は近年、他にもホビー・エンタメ系の新書を色々出しているのだけれど、これはその中でもごく初期の一冊。
かなり俯瞰的にさまざまなハードやソフトについて分析している良書で、
インベーダーからマリオくらいまでしか扱っていないものや、懐ゲーエピソードをまとめた本ならよく有ったと思うのだけれど、こういった本はなかなか無かったのではないかと思う。
個々のゲームの分析だけでなく、ゲーム業界をとりまく状況の変化なども考察されている。