NOと言えるサイレントマジョリティー
サイレントマジョリティーは直訳すれば「沈黙する多数」の事である。
タイトルは「サイレントマジョリティー」。
この曲は一番と二番で異なった方向性からサイレントマジョリティーについて唄っているのだが、
一番の歌詞は「夢を追う事は孤独にもなるよ」という、
アイドルというある種特殊な人生に舵を切った欅坂46彼女達自身に向けた意味がかなり強い。
しかし二番で歌詞の射程はかなり広がる。
「どこかの国の大統領が言っていた (曲解して)声を上げない者は賛成していると」
「曲解して」なんていうコーラスはアイドル史に留まらず、日本の音楽史上存在しなかったものだろう。
民主主義を批判しているのかと思いきや、ここで歌われているのはそういった政治制度への批判ではなくて、あらゆるものに対する態度のことだと思う。
独自の政治的主張をしている制服向上委員会のようなアイドルの歌詞とは違うのだ。
この曲は
一番で個人、
二番で世の中、
三番で個人と世の中について歌う。
2番は「NOと言いなよ!サイレントマジョリティー」で締められている。
少なくとも2016年のJ-POPで、ここまで若者をアジっている歌詞を僕は知らない。
還暦も近い秋元康が書く歌詞が、
今の他のどんなJ-POPの歌詞よりも、
危険で刺激的で象徴的だ。
皮肉なことだけれど。