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泉麻人を読もう


コラムニストと言えば泉麻人だと思う。

彼ほどその肩書きが似合う人物はいない。

かつては伝説の番組「冗談画報」のメインMCなども勤めていたりしたのだが、
現在は時折「タモリ倶楽部」や「アド街ック天国」などハウフルス製作の番組でその姿を見る程度である。



しかしながらコラムニストとしての彼は未だ現役、
60歳を過ぎた今でもなお、
昭和ニッポンの生き字引として、
コラムの執筆を続けている。


今回はそんな彼の今まで残した著作の中から、
個人的にオススメな作品をご紹介したい。




泉麻人のコラム缶(マガジンハウス→新潮文庫) 1988年

泉麻人のコラム缶 (新潮文庫)



泉麻人の80年代後半のコラムを集めた作品。
昭和から平成に変わる、
バブル期の日本のエンタメの雰囲気に浸る事ができる。
さまざまなジャンルのコラムが読める泉麻人の入門には非常に適した本である。
時代性の強く出ている当時の泉麻人のコラムは、
リアルタイムならではの、歴史には残らない世の中の動きの機微を知ることができる。
この本が気にいった諸氏は、
各年ごとに出ている「ナウのしくみ」の読破にも勢を出して頂きたい。




・コンビニエンス物語(太田出版新潮文庫)1990年

コンビニエンス物語 (新潮文庫)


いとうせいこうとの共著。
今では当たり前の存在となっているが、
まだまだ玉石混交だった80年代のコンビニエンスストア業界についてのコラムが集まった作品。
現在ではセブン・ファミマ・ローソンの三強に落ち着いた感があるが、
当時のコンビニ業界の混沌が伝わる。
現在の動画配信サイトの乱立に近いものがあるだろうか。
私的には、
本書を読むまで全く存在を知らなかった「ニコマート」というコンビニについて書かれた部分がかなり印象に残っている。
「ニコマート」などに関するコラムは、
まるで信長や秀吉の影に隠れ、
歴史に名を残さずに消えていった武将達の英雄譚の如く感じられる。
コンビニやスーパーなどの商業施設の情報
というのは、
生活に密着した重要事にも関わらず、
記録に残る事は少ない。
その点から言ってもこの本は80年代の日本の空気を知る上で非常に稀な作品なのではないだろうか。
内容的に関連はしないようだが、
同時期に同名タイトルのウッチャンナンチャンの深夜ドラマも放送された。




・僕の昭和歌謡曲史(講談社講談社文庫)2000年

僕の昭和歌謡曲史 (講談社文庫)



アイドルファンとしてもかなりの識者である泉麻人
ここでいうアイドルとはAKBでもももいろクローバーでも、
ましてやBABYMETALなどではない。
GSであり、ピンキーとキラーズであり、山口百恵であり、小泉今日子である。
謡曲を音楽的に解説するガイド本の出版は近年少なくないが、
本作は筆者の体験を交えた時代背景と共に、どちらかと言えばその曲が当時、
「どういったカタチで存在していたか」について教えてくれる。
70年代中盤くらいまでは熱烈な歌謡曲好きとして、
それ以降は時代のど真ん中の出版社の社員として、
さらにその後はコラムニストとして、
カタチを変えながら深く歌謡曲と関わってきた筆者ならではの、
他では読めない音楽コラムが堪能できる。
筆者が大学の広告研究会時代に触れたごく初期のサザンオールスターズについての記述など、
読みどころは多い。




というわけで、
まだまだオススメしたい彼の著作は有るのだが今回はここまで。



70年代には小林信彦がいたが、
80年代には泉麻人がいた。

そして二人とも未だにコラムを書き続けている。