navylight’s blog

当世のアイドルと前世のニューウェーブ

2016年のInvitation

45th Single「LOVE TRIP / しあわせを分けなさい Type D」通常盤



先日の選抜総選挙によって選ばれたメンバーが唄うAKB48の新曲「LOVE TRIP」のカップリング曲のMVのショートバージョンが、続々とyoutubeで公開されている。

 

中でも良いのが、アップカミングガールズによる「2016年のInvitation」という曲だ。

 

アップカミングガールズは選抜総選挙で65位から80位までに選ばれたメンバーによるユニットで、曲がもらえるユニットの中ではランキング上は一番下のグループである。

 

松井珠理奈が半ば不動のセンターを誇るSKE48で、現役メンバーとしては唯一北川綾巴と共にシングルのセンターを経験した事のある宮前杏実が、65位ということで「2016年のInvitation」のセンターを担当している。

 

そんな宮前ももう卒業が決定しているので、この曲が彼女がセンターをやる最後の曲になるだろう。

他にもNGT48のメンバーが唯一入っているのがアップカミングガールズだったりとか色々あるのだが、肝心の曲についてご紹介しよう。

 

風のインビテーション(Invitation) [EPレコード 7inch]

風のインビテーション(Invitation) [EPレコード 7inch]

 

 

秋元康でInvitationといえばおニャン子クラブ福永恵規「風のInvitation」を思い出すが、あの曲に負けず劣らず「2016年のInvitation」もかなりの爽やかソングである。

 

まだショートバージョンしか公開されていないので断片的な歌詞しか分からないのだが、

 

「誰かが いつだってみつけてくれる
目立っていなくても忘れてない
私は私のペースでいいんだ
明日は予想よりもちょっぴりいいことがある」

 

という歌詞は前作のリード曲「翼はいらない」の「ゆっくり歩こう」というメッセージとも繋がる部分があると思う。
なんというかこの曲はランキング当落線上にいたメンバー達が歌っている訳だが、実のところ歌詞の内容は、惜しくもランクインする事ができなかったメンバー達のためのものでもあるという気がするのだ。

 

前向きで少し楽観的すぎるようにも思えるのだけれど、これからAKBを卒業して女優になるという宮前を中心に据えて、NGTの加藤やAKBの谷口など、次代を担うであろうメンバーが唄うこの歌は、どこか素直に聴けてしまう。

フルコーラスで聴ける日が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

もっとリアルに

ESSENCE:THE BEST OF IPPU-DO

 

土屋昌巳率いる一風堂は70年台後半から80年代初頭にかけて活躍したニューウェーブバンドである。


細かい説明は省くとして、このバンドはBLANKEY JET CITY等をプロデュースした土屋昌巳と、おニャン子クラブとんねるずの作曲、近年では堤幸彦作品のサントラでもお馴染みの見岳章の二人を擁していたという点でかなり重要なバンドである。

後のJ-POPシーンへの貢献度という意味ではYMOにも引けを取らないと考えるのは大袈裟かもしれないが、あながち間違ってもいないと思う。

 

そんな一風堂のデビューシングルが「もっとリアルに」である。

ファーストアルバムはもっと土屋昌巳のギターが炸裂しているのだが、この曲では大人しめで、どちらかといえば見岳章のシンセの方が目立つ。逆にセカンドシングルの「ブレイクアウトジェネレーション」は土屋の激しいギタープレイが聴ける。
典型的なテクノポップ土屋昌巳の出自であるビートロックの要素が複雑に絡み合っているのが、初期の一風堂の魅力だ。

 

ヒット曲の「すみれSeptember LOVE」では作詞家の竜真知子に歌詞を任せていた一風堂だが、この曲をはじめ、多くの作品は土屋昌巳が歌詞を手掛けている。

土屋昌巳の落ち着いたミステリアスな雰囲気に似合わず、なかなか悪ガキっぽい元気な歌詞が良い。

 

「もっとリアルに」だって結局ポルノを"もっとリアルに見たい"というようなしょーもなっ!な感じなのだが、

 

「もっとリアルに生きていたいそれだけさ」

 

の一言はなんだか響くものがある。

 

エロは真理か。

もっとリアルに

もっとリアルに

 

 

ESSENCE:THE BEST OF IPPU-DO

ESSENCE:THE BEST OF IPPU-DO

 

 

 

BELLRING少女ハートの健在っぷり

BEST BRGH

 

BELLRING少女ハート(以下ベルハー)の8/16新宿タワレコのインストアを見てきた。

 

ファーストアルバムが出た頃、ついにアングラアイドルの決定版が出たかと、かなりの興奮を持ってベルハーを見に行っていた事を覚えている。

 

あの頃は丁度でんぱ組.incやBABYMETALの名前が世間に知られてきた頃で、ももクロの次はいったい誰なのかということに多くのアイドルファンの関心はあったかと思う。

 

ファズギターやチープなオルガンがサウンドの主体のベルハーは、ゴリゴリのアキバ系でも、渋谷系のお下がりでもない、独自の世界観が好きだった。
2013年のTIFでモデルガン持って出てきた場面は良い想い出だ。

 

あれから3年経ち、正直ベルハーからの関心はかなり薄れていたのだが、今回見たベルハーは3年前と一つもブレていなく、メンバーもかなり変わっているようだが、それに伴う違和感もさほど無く、ベルハーというフォーマットの力強さを感じた。

 

ベストアルバムの発売に伴うインストアということでか、昔の曲も幾つか披露され、とても懐かしく聴いた。

 

今ではBABYMETALなどが海外で成功している反面、結局そういうのは大きな事務所に所属しているグループがほとんどで、
あの頃ほどこういう地下っぽいアイドルの成功モデルみたいなのは想像しにくくなっているけれど、根気強く活動を続けているベルハーにはなんらかのカタチで報われてほしいと思ってしまった。

 

BELLRING少女ハートは絶対流行らないけど、絶対歴史の片隅には残るグループだろう。

 

万が一流行るような事があったらその時はすいません。

 

BEST BRGH

BEST BRGH

 

 

 

BedHead

BedHead

 

 

ライスとチューニング (feat. BELLRING少女ハート)

ライスとチューニング (feat. BELLRING少女ハート)

  • HELクライム
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250

 

コンビニ人間を面白いとは言ってはいけない

コンビニ人間



先日芥川賞をとった村田沙耶香「コンビニ人間」を読んだ。

とても面白かったが、この作品を面白いと思うような人は、あまり人にはこの作品を進めない方が良いのかもしれない。

 

普段は芥川賞の受賞作品だからといって、特別読むようなことはないのだけれど、なんとなくタイトルが気になっていた。

 

内容はというと日常生活の中でいわゆる"普通"の感覚を理解する事ができず、自分がコンビニ店員という事にのみアイデンティティーを唯一見出している古倉という女性の物語。

 

この作品では「マイノリティーを叩く事に容赦のないマジョリティー」がかなり強調されて描かれている。
そんなマジョリティー、世間一般の価値観にどう合わせていくか、コンビニ人間の自分が普通の人間の中にどう紛れ込んでいくかというような事が作品のテーマだ。

 

子供の頃から普通の感覚が理解できなかった古倉は18年間コンビニ店員としてアルバイトを続けていく中で、"普通のふり"を身につけた。

 

どういう事を言うと他人は自分に違和感を覚えるのか、そんな事に気を配りながら、当たり障りの無い会話をしていく。

 

日常でそういう事を意識的なり無意識的になり人は皆しているのだろうとは思うが、異常なまでに細かい心理描写が、そういった行為が本当はとても不自然な事なのだと思わせる。

 

「私の喋り方も、誰かに伝染しているのかもしれない。
こうして伝染し合いながら、私たちは人間であることを保ち続けているのだと思う。」

というこの部分。


日頃触れ合っている人間が変わると自分の口調も変わっていく、誰かの口調が誰かの口調に伝染していく、それは、他人に合わせなければいけないという人間の深層心理を現しているのではないだろうか。

 

37歳の独身のコンビニのアルバイトしかやった事のない人間がどのように生きてきて、どのようにこれから生きていくのか、未読の方は是非読んで頂きたい作品だ。

 

この「コンビニ人間」のような大きな声では薦めにくい傑作を多くの人に知れ渡らせ、適切な評価を与えるという意味でも、文学賞というのは意味があるのかもしれないと思った。

 

 

コンビニ人間

コンビニ人間

 

 

 

夢の名残

NMB48 僕はいない 劇場盤

 

NMB48の最新シングル「僕はいない」。
渡辺美優紀の卒業シングルである本作の劇場盤CDには表題曲である「僕はいない」、そして山本彩の作曲による「今ならば」、最後に渡辺美優紀のラストソロ曲となる「夢の名残」が収録されている。

 

その中でも特に「夢の名残」という曲について紹介したい。

渡辺美優紀のソロというと、これまで「わるきー」や「やさしくするよりキスをして」のような、ブリブリのアイドル曲だった。

しかしこの「夢の名残」は、そんなアイドルソングの喧騒から解き放たれたような、とても落ち着いた詩的な楽曲である。

自身のアイドルらしいキャラクターというのを確固としていた渡辺美優紀が見せる素の表情。

 

「夢の名残
ひとみ閉じれば
過ぎた日々が浮かんでくる
眩しいくらい輝いていた
記憶のすべても月のかたち」

 

夢の行き先を、
三日月から段々と満月へと変わっていく月になぞらえた歌詞。
とても情緒的である。

 

しかし、この歌詞を聴いて思うにこの「夢の名残」というのは、渡辺美優紀自身の夢というよりは、どちらかといえば彼女を見ていたファンや秋元康の心情なのではないだろうか。

 

最後の一節


「待っててほしいよ夢の続き」


という歌詞は秋元康なりの渡辺美優紀へのメッセージという気もする。

 

本来のところ渡辺美優紀が今後どういった未来を歩んでいくつもりなのか、とかそういった事は全く分からないのだけれど、
「夢の名残」の抽象的な詞を歌うその声こそが、何よりも本人の心情をハッキリと表現している。

夢の名残り/渡辺美優紀

夢の名残り/渡辺美優紀

 

NMB48 僕はいない 劇場盤

NMB48 僕はいない 劇場盤

 

 

 

 

欅パーソン、スキャット後藤

配信限定動画?:「メンバーが語る作品の見どころ!」

現在放送中の欅坂46のドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか」。
番組を盛り立てる重要な要素として挙げられるのが不気味だけどどこかユーモラスなBGMの存在。
そんな「徳山大五郎を誰が殺したか(以下 徳山大五郎)」の音楽を務めるのがスキャット後藤である。

欅坂46との関わりとしては「徳山大五郎」の音楽以外にも「世界には愛しかない」の特典映像で上村莉菜の個人PV「効果音ガール」(TYPE-C収録)のBGMなども手がけている。

「徳山大五郎」の音楽の中では、子供の声による「ランランラン」というコーラスの曲、アメリカのカルトバンドResidents、はたまたThe Doorsあたりを連想させるような曲、キングクリムゾンのようなフリージャズ風味の曲等が印象に残るが、スキャット後藤氏はどのような所に音楽的な下地を持つ人物なのだろうか。

スキャット後藤氏のホームページ:
http://www.cutecool.jp

スキャット後藤氏はフリーランスの作曲家で、
テレビバラエティのBGMから、CM、映画、ゲームと様々な場所に楽曲を提供されていることがわかる。
以前「徳山大五郎」と同じくテレ東で、金曜日のドラマ24で放送されていた「殺しの女王蜂」の音楽も担当されていたらしい。
深夜ドラマの劇伴を数多く手がけられている。
個人的に「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「トークダービー」のコーナーのBGMなんかは気になる所だ。わざわざあのコーナーのためにBGMが制作されていたということも驚きである。
プロフィールを眺めていると、そのキャリアのスタートはスーファミなどのゲーム音楽だということで、そもそも打ち込みを得意とされる方なのだろうか。

では、スキャット後藤氏はどんな音楽を聴いてきたのかというと、彼はnoteもやられていて、その記事の中で幾つか手持ちのアナログレコードを紹介しているものが有った。

スキャット後藤氏のnote:
https://note.mu/scatgoto/n/n88bc5b090161

プログレ、アニソン、山下達郎からバート・バカラックと非常に幅が広い。

スキャット後藤氏のインタビュー:
http://kohrogi.com/?p=6387

さらに、こちらの「となりの関くんとるみちゃんの事象」というドラマの劇伴を主軸にした「こおろぎさんち」というサイトのスキャット後藤氏のインタビューによると、
彼の劇伴のルーツはなんと、大阪の心斎橋二丁目劇場で見たダウンタウン千原兄弟の漫才・コントの間合いや演出だという。
お笑いやバラエティ番組を見てきた経験が、劇伴をやるうえで非常に重要になっているとのこと。
非常に変わった作曲家さんである。

「徳山大五郎」の不気味だけれどどこかユーモラスなBGMのあの感じの秘密が少し分かった気がした。

 

 

 

2丁目BOOK―ダウンタウンからピーチパイまで

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世界には愛しかない(TYPE-C)(DVD付)

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須藤凜々花、ショートカットの夏

僕はいない(通常盤Type-D)(DVD付)

NMB48渡辺美優紀卒業シングル「僕はいない」のカップリングに収録されている、須藤凜々花初のソロ曲「ショートカットの夏」。

 

須藤凜々花(愛称:りりぽん)は将来の夢が哲学者で今年の3月には自身初の哲学書「人生を危険に晒せ!」を発表し、CSでは麻雀の冠番組を持ち、「ドリアン少年」というシングル曲ではセンターも務めていた、というドラが乗りまくっているNMB48の期待の若手メンバーである。

 

そんな須藤凜々花がついにソロ曲を出すということで、どんな曲なのかと聴いたら、まさかの爽やかな王道アイドルソングである。
正直歌詞もかわいらしいが他愛の無いものだ(それとも須藤であればこの曲も哲学的に解釈しているのだろうか)。

 

これまで須藤がメインをはってきた曲というと、
ニーチェ先輩」「ドリアン少年」など須藤の得意分野である"哲学"を肝としたキワモノ的な歌詞が多かった。

 

そんな須藤が何故王道な歌詞のアイドルソングを歌うのか、これはやはり亜流から主流へと須藤凜々花が変化を遂げる第一歩なのではないだろうか。

 

冒頭に書いた通りこの曲が収録されたシングルのメイン楽曲は「僕はいない」という、これまでグループのメインを張ってきた渡辺美優紀の卒業シングル。須藤が次代を担うにはこういった王道アイドルソングを歌える姿を見せるという事は最重要課題だったのかもしれない。

 

亜流の須藤が主流に寄せる必要があったのか、亜流と呼ばれているものを主流と呼ばせるように変えるのが須藤ではないのか。
そんな事も思ったりするが、やはり須藤はここで王道もできるのだという事を見せる必要があるのだろう。

 

しかしこれまでも須藤がそういった王道アイドルな側面を全く見せてこなかったという訳ではない。


自身の冠番組「トップ目とったんで!!」では毎回麻雀バトル終了後、自身お気に入りのアイドルソング(ももクロからハロプロと、48グループに限らず様々なもの)をカラオケで歌うというコーナーがある。
麻雀参加者を目の前にして歌うそのカラオケのグダグダっぷりは目に余るものがあるのだが(そこが面白い)、ここでの須藤はまさに王道アイドルの様相を呈していた。

 

タモリが「笑っていいとも」のオープニングで司会者が歌うのは不自然極まりないということで、恒例だったオープニングの「ウキウキウォッチング」を歌うのを辞めたが、アレは不自然だからこそよかったのである。
この番組での唐突に始まる須藤のアイドルソング独唱も全く不自然だ。
かつて「われめでポン!」で勝負を終えた加賀まりこ蛭子能収がひとり歌い踊って番組を閉めるなんて事があっただろうか。

 

少し話が逸れてしまったが、
とにかくこの「ショートカットの夏」の須藤の歌唱には、これまで「トップ目とったんで」で様々な麻雀の腕のたつ著名人達の前で王道アイドルソングを披露してきた経験の蓄積が現われている。

ドラゴンボール亀仙人に訳のわからない修行をやらされていた悟空とクリリンが天下一武闘会で、亀の甲羅を外して修行の意味に気づくかのようだ。


「寄せるさざなみ
ふいに足をとられて
コマ送りのように
君はコケてしまった」

 

という歌詞があるが、須藤はダンス中よくコケる。この曲を歌う時はコケないことを祈るのみである。

 

僕はいない(通常盤Type-D)(DVD付)

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人生を危険にさらせ!

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